駅銘板は美作を省き単に「千代駅」とされています。飯田線に「千代(ちよ)駅」があるため「美作」を冠しているのかと思いきや、美作千代駅の方が先に開業しています。仙台や鹿児島県の川内駅と区別するための措置だったのでしょう。

駅舎に通じる引き戸が印象的。改札口に引き戸がある駅ってあまりないと思います。

待合室は100年の歴史の中でさすがに手を加えていますが昔懐かしい雰囲気。駅舎の前に立つポストはわざわざ昔風の円筒状のものに変えられたそうで、木造駅舎に合った雰囲気を出そうという地域の人たちの心意気が伝わります。

歴史ある当駅の中でも特に大正時代そのままの姿をとどめるホームの柱。

雨上がりのプラットホームにタラコ色のキハ47がお迎えにやってきました。やはりこういう駅舎には昔ながらの国鉄型気動車が似合うなと思った瞬間でした。

大隅横川駅

ところ変わってこちらは鹿児島県。大部分の区間が被災して運休している肥薩線ですが、南端部分は被災を免れ今も運転を続けています。この区間には嘉例川駅など歴史ある木造駅舎が並ぶのですが今回降りた駅はその中のひとつ「大隅横川駅」でした。

大隅横川駅全景。

大隅横川駅が開業したのは明治36年。先に紹介した岡山県の2駅よりも長い歴史を持ちます。

肥薩線は北部九州から鹿児島に向かう鉄道の中でもっとも古くに開業した路線であり、重要な役割を果たしていました。その後昭和2年に海側を通る鹿児島本線が開業すると鹿児島までのメインルートはそちらに譲り、長閑なローカル線として今日まで地域の乗客を運ぶ足として活躍しています。

木造駅舎には赤い円筒ポストがよく似合う。

改札の向こうの紅葉が美しかった。

昭和61年まで営業していた切符売り場。こんなところで硬券切符買ってみたかった。

朝のプラットホーム。ホームを覆う屋根や柱は古いですが、駅名標は新しく架け替えられるなどきれいに手を入れられているのがわかります。この日も地域のボランティアの方が清掃に来ていて、この駅が地域のシンボル的存在となっていることが窺い知れました。