こうしてドイツメディアが悪口雑言を放っていたとき、トランプ大統領はあれよあれよという間にメキシコ国境を閉め、性別は男か女の2種類に戻し、トランスジェンダーの人は軍隊から排除。また、パリ協定だけでなく、WHOからも脱退する意向だ。

これらについてもドイツメディアは、トランプ氏は商売人で、儲からないことにはお金を出さないと解説していたが、果たしてそうだろうか? 国境を守り、違法滞在者を摘発するのは主権国家として当然の措置だし、性別の基本は男女2種類だということを否定する人が、世の中にそれほど多くいるとも思えない。

ところが、翌日、オンライン放送ntvに出演したケルン大学の政治学者トーマス・イェーガー氏のコメントは、全く違った。「トランプのスピーチは野蛮で脈絡のないカオスそのもの。トランプは嘘つき」と、解説というよりほとんど誹謗中傷のレベル。氏によれば、バイデン前大統領が、トランプ就任の7分前に自分の家族などを恩赦したのは、今後予想されるトランプの報復から無実の罪の人々を救った正しい行動だそうだ。

また、トランプが国境を閉じたことにより、「すでに国境を越え(←違法)、これから“正式に”ビザの申請をしようとしている人々が困難に陥っている」とか、「性別が男女だけになると、現在、性を変えるためにホルモン治療中のティーンネイジャーを抱える多くの家庭が途方に暮れる」と声高に批判。これにはかなり呆れた。私は、国境侵犯を合法化することにも、多くの子供がホルモン治療を受けている状況にも賛成できない。

一方、パリ協定については、トランプ氏のみならず、共和党の党員はたいてい、地球の温度は人間の力では変えられないという考えだ。惑星を温暖化による破滅から救うとして、CO2の削減を人類の最大目標のように謳っているのは、EUの欧州委員会、国連など左翼勢力で、さらにいうならその背後にいるグローバルな巨大資産運用会社だ。しかし、共和党は当然のことながら、左翼イデオロギーには染まっていない。