光にかざされた古地図が語る真実
2012年、大きな転機が訪れた。大英博物館の学芸員キム・スローンと紙資料修復士のアリス・ルグハイマーが、入植者の一人であり地図製作者でもあったジョン・ホワイトの描いた「ラ・バージニア・パース」という地図を光にかざしたのである。すると、地図上の空白部分の下から、要塞を示す記号が浮かび上がった。
この発見は、さらに興味深い事実と結びついた。数年前、考古学者ニコラス・ラッケッティは、地図上の要塞記号の位置に該当する場所(現在は「サイトX」として知られる)で、16世紀の英国製陶器の破片を発見していたのである。この場所は、ロアノーク島から約160キロメートルの距離にある。
その後の詳細な調査で、この場所からは靴紐の金具、布を張るための釘など、さらなる英国製の遺物が発見された。ノースカロライナ州のファースト・コロニー財団(FCF)の研究者たちは、これらの遺物は、ロアノーク入植者の一部が避難してきた証拠である可能性が高いと考えている。特に注目されているのは、この場所に先住民の村メタクムがあったという事実だ。入植者たちは、困窮の末にこの村に助けを求めたのかもしれない。