連日、メディアは中居正広氏のスキャンダルに端を発する「フジテレビ問題」で大荒れだ。1月27日の会見では社長・会長の辞任が発表された。
当事者どうしが法的には和解しており、守秘義務のため事件の内実がまったく不明にもかかわらず、ここまで急激に事態が進むのは異例である。もちろんそれは、中居氏個人の不祥事に留まらず、フジテレビが「会社ぐるみ」で不適切な慣行を続けてきたのではとする疑惑に由来する。
裏方のはずのスタッフをキャストと同様に画面に映し、悪ノリも全然アリな内輪ネタで笑いをとる芸風で、1980年代にフジテレビは娯楽番組の王様へと躍進した。その「成功体験」をずっと自明視し続けたことが、今回の不祥事を招いたのではと指摘する声は多い。
たぶんそれは当たっているんだろうけど、個人的にはこの間、また別の「1980年代」が気になっていた。日本で初めて「ポストモダン」がブームになった時代で、その頃流行した概念にツリーとリゾームがある。
元ネタは、フランスの思想家だったドゥルーズとガタリ。日本で広まるきっかけは、1983年にベストセラーとなった浅田彰『構造と力』だった。