■政府の秘密を解き明かしたヴェネツィアの暗号研究者
ルネッサンス期にイタリアで活躍した暗号研究者のジョヴァンニ・ソロは「現代暗号学の父」と呼ばれる。1500年代初頭、フランス人はソロの暗号解読の技術に惚れ込み、ソロを「神に触発された」人であると評価した。教皇でさえソロに暗号解読を依頼したほどだった。ソロは人生の大半をヴェネツィア政府のもとで、外交と軍に関連する手紙を解読する役割を担った。後にイタリア語、フランス語、スペイン語、ラテン語で暗号化と暗号解読に関する論文を執筆したが、その論文は現存していない。もはや暗号にまつわる知見それ自体が、失われた大いなる暗号となってしまった。