今年の正月は千葉県のローカル線に乗る旅をしました。

千葉県を選んだ大きな理由は、今回ご紹介するJR久留里線の一部(久留里駅~上総亀山駅)が近く廃止になることが発表されたためです。具体的な廃止時期は未定ですが、JR東日本ができるだけ早い時期に廃止したいと考えているようなので、乗れるうちにと思い今回の旅先に選びました。

久留里線の起点は木更津駅。内房地方の中心都市です。

木更津駅の前からは東京方面のバスがひっきりなしに出ています。東京へは鉄道を使って千葉、船橋を通って行くよりもCAと書かれている東京湾アクアラインを経由していく方が圧倒的に早く安いため多くの方がバスを使って移動します。このため内房線を走っていた特急さざなみは大きく減便されてしまいました。

木更津駅で発車を待つE130系。

起点の木更津駅でさえそのような状態なので、そこから奥房総に向かう久留里線の経営状況がいいわけもありません。

木更津駅に近い久留里駅までは、学生などの利用もあって営業係数は1153円(100円稼ぐのに必要な費用)とまだ健闘している方と言えるのですが、末端の久留里駅から上総亀山駅までは16821円と関東はおろかJR東日本全体でもワーストの数字となっています。2億の経費をかけながら収入はたったの100万円という有様です。

もともと久留里線は、木更津駅と外房の大原駅を結ぶ「木原線」として計画されていました。ところが大原駅から延びた木原線は上総中野駅(青線と緑線の境目部分)で私鉄の小湊鉄道と連絡することとなりそのまま延伸の計画はストップ。久留里線はぼっちとなってしまいました。

当初の目的を失った久留里線は、この段階で苦しい経営環境に置かれることとなりました。国鉄末期のローカル線廃止の嵐の中も生き抜いてきましたが、2024年11月27日、JR東日本により久留里駅から上総亀山駅の間について新たな公共交通への移管の申し入れがあり、事実上の廃線が決まりました。