その結果、睡眠の不調を訴えた人の66%は、客観的な不眠はなく、問題が見つかりませんでした。

「寝付きが悪い」「よく目が覚めてしまう」と、眠れないことで悩んでいる人の7割近くが、実は「よく眠れていた」のです。

一方で、「十分な時間眠れている」と感じている人の45%は、客観的には睡眠不足が疑われると分かりました。

「十分寝ている」と主張する人の約半数は、実際は寝不足だったのです。

さらに、「睡眠の質が良い」と感じているグループと、「睡眠の質が悪い」と感じているグループでは、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の有リスク者の割合がほとんど変わらないことも分かりました。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質を大きく低下させますが、主観的な睡眠評価では、このリスクが見過ごされやすいと分かります。

これらの結果は、主観的な睡眠評価だけでは不十分であることを示しており、脳波や酸素飽和度といった客観的データの重要性を明らかにしました。

また、今回の研究では、自宅で測定可能なインソムノグラフのようなデバイスが普及するなら、そうした客観的な睡眠データが得られやすくなることも示しています。

私たちの睡眠の時間や質に関する感覚は当てになりません。

だからこそ、誰もが一度は、自分の睡眠に関して専門家から客観的な評価を下してもらう必要があるのかもしれません。

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参考文献

自覚している睡眠時間や睡眠の質は「当てにならない」
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20250117141500.html

元論文

Discrepancies between subjective and objective sleep assessments revealed by in-home electroencephalography during real-world sleep
https://doi.org/10.1073/pnas.2412895121