しかしこれらとは別に、もう一つ注目すべきものが見つかりました。

遺跡から2体の人の遺骨が発見されたのですが、どこを調べても暴力や食人行為の痕跡は一切見つからなかったのです。

その他の数十名の遺骨は見つかっておらず、彼らがどのように仲間を弔ったのかはわかりません。

埋葬ではなく、水葬に伏した可能性もあります。

ただここから推察されることは、生存者たちはどんなに極限の状況でも互いに傷つけ合うことなく、仲間と助け合い、尊重し合って15年間を生き延びたことです。

それでもあまりの過酷さに次々と命が失われていきましたが、彼らが命をつなぐことを諦めなかった結果、7人の女性と1人の赤ん坊を生きて帰すことができたのでしょう。

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参考文献

The Slaves of Tromelin Island
https://www.amusingplanet.com/2022/09/the-slaves-of-tromelin-island.html

How an 18th-Century Shipwreck Changed France’s Conversation About Race
https://newlinesmag.com/essays/how-an-18th-century-shipwreck-changed-frances-conversation-about-race/

元論文

La culture matérielle comme support de la mémoire historique : l’exemple des naufragés de Tromelin
https://doi.org/10.4000/insitu.10182

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。