信頼性の高い動画「トラベリングイスラエル」は「結局は欧米社会はイスラエルを理解していない。戦いは最後まで徹底的に実行しなければ、相手は再び立ち上がり、イスラエルに攻撃を仕掛けてくるだろう。第1次世界大戦も中途半端だったので第2次大戦となった。ナチスドイツを徹底的に壊滅することで戦いを終えることが出来たのだ。同じように、徹底的にハマスを壊滅しない限り、ハマスは再びイスラエルを攻撃するだろう」と警告を発している。

イスラエルの「戦争論」は欧米社会の通常の「戦争論」とは違うわけだ。相手が白旗を挙げたり、相手の被害が甚大な場合、戦争当事国は停戦を模索する。しかし、イスラエル側は相手を完全に破らない限り、戦いを終えることはしない。イスラエルの戦争論には、神が祝福した領土、国を死守し、それを破る敵を絶対に許さないという考えが根底にあるからだ。神の名によって戦うイスラエルと、国益、領土などの利益のために戦争をする国とは最初からスタートラインが異なる。

ネタニヤフ首相はハマスの奇襲テロ直後、「アマレクを忘れるな」と国民に呼びかけた。「アマレクの蛮行を忘れるな」は旧約聖書「申命記」第25章17~18節に記述されている。アマレクは古代パレスチナの遊牧民族で、旧約聖書によると、イサクの長男エサウの孫エリファズの子だ。「あなたがエジプトから出てきた時、道でアマレクびとがあなたにしたことを記憶しなければならない。すなわち、彼らは道であなたに出会い、あなたがうみ疲れている時、うしろについてきていたすべての弱っている者を攻め撃った。このように彼らは神を恐れなかった」。

世俗化し、神を忘れてきた欧米社会は平和を久しく享受してきた。そして彼らの「戦争論」にはもは神云々といった大義や論理はない。あるとすれば、「民主主義」と「共通の価値観」といった曖昧なキャッチフレーズだけだ。ネタニヤフ首相がハマスを壊滅するまで戦い続けるといった時、西側の多くの知識人たちはイスラエルを「植民地時代の帝国主義の復活」と糾弾したことを思い出す。