今回明らかになった「陽子内部の量子もつれ」を数値的に捉える手法がさらに成熟すれば、核子や原子核、さらには物質のあらゆる安定性をより精密に理解できるようになるでしょう。
今後建設予定の電子イオン衝突型加速器(EIC)などでは、さらに大きな系での核子同士のもつれも探究できるため、高エネルギー物理や核物理学の基盤自体が“もつれ”を中心に再定義される可能性すらあります。
そうなれば、物質観のみならず、量子情報理論や次世代の実験技術にも波及し、私たちの科学の見取り図を大きく変えていくことでしょう。
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元論文
QCD evolution of entanglement entropy
http://dx.doi.org/10.1088/1361-6633/ad910b
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部