また葉の内側には複数の感覚毛が備わっており、この感覚毛が2回連続して触れられると、葉が瞬時に閉じて獲物を捕らえます。
(2回の接触で葉が閉じるのは、雨などで誤動作するのを防ぐためだと考えられます)
この動作は約0.5秒という驚異的な速さで行われ、植物としては異例の反応速度です。
しかし、ハエトリグサの捕虫成功率はそこまで高くありません。
アメリカのノースカロライナ大学(University of North Carolina)の2019年の研究によると、ハエトリグサの捕虫成功率は16%から24%だと示されています。
この研究では、トゲが捕虫に重要な役割を果たしていることが明らかになりました。
トゲは中程度のサイズの昆虫に対して効果的で、葉が閉じる際に逃げ場を塞ぎ、虫を閉じ込める“檻”として機能するのです。
一方で、大型の昆虫の場合、トゲが逃げ道として活用されることが観察されました。
大型昆虫は、葉のトゲを足場として利用し体を持ち上げることで、葉の中から強引に脱出することができるのです。
ハエトリグサの巧妙な罠には対象サイズに限界があり、それゆえ捕虫成功率もそこまで高くなかいのです。
では、他の食虫植物はどうでしょうか。
ウツボカズラの捕食成功率は気候に左右される
ハエトリグサ以外にも、食虫植物の捕虫成功率は研究されています。
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ウツボカズラ(学名:Nepenthes rafflesiana)は、湿地や熱帯雨林に自生する落とし穴式の食虫植物です。
その葉は筒状になっており、甘い香りで昆虫を誘い込み、内壁の滑りやすい構造で筒の中に捕らえます。
そして筒の中に落ちた昆虫たちは、内部の消化酵素によって分解され、ウツボカズラの栄養になってしまうのです。
これまでに研究により、葉の縁(開口部)にある湿り気を帯びた部分が捕虫効率に重要な役割を果たすことで知られています。