憧れていた人も、いろいろ乗り継いできた人も納得させるのがフェラーリの実力
九島 今日は皆さんお集まりいただきありがとうございます。今回はフェラーリの「いま」を知るというテーマで皆さんには比較的新しい年式のフェラーリを乗ってきてもらいました。皆さん、旧い方もお待ちですが今日はこれですね。お聞きしたいのはフェラーリというブランドの印象です。所有前/所有後という観点でお話しいただければと思います。まずは西川さんよろしくお願いします。
西川 4歳くらいからクルマのデザインが好きで、将来は絶対にフェラーリに乗りたいと思って勉強と仕事を頑張ってきました。30歳になったときに自分で所有する初めてのクルマがフェラーリ360モデナでした。工場で手作りで作ってる写真やエンツォ・フェラーリの考えにとても影響を受けています。F1の技術を市販車に反映しているのも魅力のひとつだと思います。イタリアのモデナには3回行って、今年は工場見学もアテンド付きで実現しました。実際自分のクルマを作っているところを見られるなんて感動しかありませんでした。昔と変わらず職人さんが手作りで1台1台丁寧に作っていて感銘を受けました。そりゃ納車に時間がかかりますね。値段も納得です。
九島 マラネッロの本社工場は何回行っても飽きないですよね。見ているだけでワクワクする。続いて平間さん、お願いします。
平間 私がフェラーリを見たのは、いまから約50年近く前。赤の512BB。当時の衝撃はいまでも覚えています。時代は『サーキットの狼』が大ヒットした、スーパーカーブームのころ。強い衝撃は消えることなく、時間があると自転車に乗って、当時環八の田園調布にあったオートロマンによく見に行ったものです。幼くして感じた、強い衝撃と憧れが、そのままフェラーリ・ブランドへの印象です。好きすぎて、何台もプラモデルやラジコンを作りました。そのため、各部の詳細も知ることができ、私のいちばんのお気に入りはウェーバーキャブレターが整然と並ぶエンジンです。子供のころから機械好きだったこともあり、キャブレター時代のエンジンの美しさが大好物です。日ごろ見えないところへの美しさは、カッコよすぎます。インダストリアルデザインの最高傑作。こんなところにフェラーリのすごさを感じます。
九島 平間さんもまた初めからマニアックですね。武井さんはフェラーリの印象はどうでしょう?
武井 クルマの中で最も手直し不要な完成された美しさを感じます。どの角度から見ても外装、内装すべて完璧なデザインだと思います。以前、ポルシェにも乗っていましたが、ところどころ直したくなるのがつねで、ポルシェ好きの友人たちもどこか個性を出したがるのを客観的に見ていると対照的に思えます。クラシックカーも好きなので、ご縁のあったクルマを「一定期間の預かり物」の感覚で、そのクルマをありのままで楽しみたいのです。それにはフェラーリが最もマッチすると思っています。
九島 武井さんはご夫婦でクラシックカー・ラリーに参加している常連ですものね。さすがお詳しいというか、クルマに対して信念をお持ちなのがわかります。最後に疋野さん、お願いします。
疋野 私は、早めにリタイアして、自分らしい趣味の生活を楽しもうと決めていました。最初は50歳を目標にしていたのですが、そうもいかず55歳で現在の生活に入りました。いま、70歳になりました。現在、戦前のラゴンダ(1935年型)から、国産ヒストリックのマツダ・コスモスポーツ、トヨタ・スポーツ800(ヨタハチ)、ポルシェ964、第2世代のNSX、マツダ・ロードスター、シビック・タイプRなど、多彩なクルマを自宅とは別の場所にガレージを建てて保有しています。コスモスポーツやヨタハチは、子供時代の憧れ、ポルシェは、スーパーカーの中でいちばんという思いがあり、手に入れました。ポルシェの中でも964はほしかった。それぞれキャラクターも走り味もさまざまですが、それぞれが愛しいクルマたちで満足しています。クラシックカー・ラリーにも積極的に出場しています。
九島 そうですよね。コスモスポーツで参加されている姿を何度かお見かけしています。そのとき私のマシンはダットサン・フェアレディでした。フェラーリはどうですか?
疋野 フェラーリは気になるクルマでしたが、「信頼性がいまひとつ、壊れやすい」というイメージがあり、個人的にはドイツ車のポルシェを楽しんでいました。ところが友人に誘われてディーラーに試乗に行って感激しました。ステアリングのレスポンスを含め、すべてに一体感があり、さすがだと感じました。それで衝動買いです。試乗から戻り、その場で契約してしまいました。
九島 それが今回の296GTBというわけですね。それにしても皆さんすごい。西川さんのもう1台のフェラーリ、ディーノ208GT4も気になります。印象的なのはそもそもフェラーリに憧れていた人も、いろいろなクルマを乗り継いでフェラーリにたどり着いた人も、皆気持ちよくフェラーリを受け入れ、ライフスタイルに取り入れているのを感じます。そのへんがフェラーリの魅力なんでしょうね。皆さん、今日はありがとうございました。
フェラーリGT4ルッソT/西川博史さん
4シーターというだけではなくこの
クルマを選ぶべき理由は他にもあった
メルセデスAMG GT4 63に3年乗ってたのですが、子供も大きくなり「次は何買おうかな」と思ってたときに、やっぱりまたフェラーリかなと考えました。そこで選択肢として、家族で乗るにはGT4 LUSSOしかないと。それに1987年型412のデザインが好きで何年か前に所有してたことがあるので、それをオマージュしたリアデザインが発売当時からいいと思っていました。そこで車屋さんに探してくださいといったら、すぐにこの個体の写真が送られて来たんです。僕が買ったときの走行距離はわずか2800kmしか走ってなくて、装備もカラーもとても僕好みでした。このボディカラーは映画監督ロベルト・ロッセリーニが女優イングリッド・バーグマンに贈ったワンオフモデルと同じ色です。現在、ディーノ208GT4を持っていますが、今回のこのモデルでフェラーリは4台目です。
職業/歯科医師/DJ
その他所有車/ディーノ208GT4、アバルト750ザガート他
趣味/レコードコレクション、DJ音楽制作