今度の改正で2階建ての年金制度を実質的に1階建てにすると、これからは1階で年金の原資が足りなくなったら、厚労省令だけで2階から流用できるようになる。おまけに国庫負担も現役世代の払う税金だから、世代間格差はますます拡大するが、それを国会で止めることはできない。この法改正はポイント・オブ・ノーリターンなのだ。

たかまつさんの最大の欺瞞は、この巨大な年金ネズミ講を隠し、「厚生年金はお得だからみんな入ろう」という厚労省の嘘を拡散していることだ。この点では、頭は悪いが発信力のある若者をあやつり人形にして宣伝させようという厚労省のねらいは当たった。

トリックが余りにも複雑なのでマスコミも(日経を除いて)ほとんど批判しないが、ネットではこれにだまされない人が多い。今後は国会で野党がこういう厚労省の嘘を暴いて年金改悪法を阻止し、最低保障年金などの制度改革を議論すべきだ。その議論を刺激する意味では、たかまつさんの役割は大きかった。