とは言えども総務省は徹底した調査と詳報をフジに要求するでしょう。付帯的問題、例えば港社長の記者会見の歯切れの悪さから批判や憶測、波紋を呼んだ点について苦言を呈するかもしれません。また事実をトップが長く知っていたにもかかわらず、事なかれ主義、番組重視でガバナンスが効かなかったことで管轄省庁としてフジへの厳しい叱責はあると思います。

次に従業員です。当然ながら動揺が走っていることでしょう。また公共放送だけにアナウンサーなどが矢面に立たされますし、街頭インタビューもしにくくなるでしょう。更には番組制作部門がフジテレビへの協力拒絶姿勢に直面し、良い番組制作ができないということも中期的には起こりえると思います。もちろん、一部の従業員は他のメディアへ動いたり退職するケースが出てきてもおかしくありません。

つまり一般大衆に最も知られた企業でメディアという発信型ビジネスをしているだけに広告主から視聴者までその信頼を一度失ってしまうと留まるところ知らずになりかねないとみています。

では、どう再生させるかです。1つは内部改革による手法、もう一つは外部のブラッドを入れたりM&Aがあります。内部改革の場合、経営トップが辞めるだけでは済まないでしょう。企業体質がどうだったのか、編成部長だったA氏が絡んでいるのなら彼だけの問題だったのか、社内全般の体質なのかを全部スキャンし、開示する必要が出てきます。これには少々時間がかかるでしょう。

個人的にはフジ再生には一気に浄化できるM&Aの方がよい気がします。メディアのあり方が大きく変わり、視聴者はYoutubeやネットフリックスといった自分の好みの動画を視聴する傾向がますます強待っています。地上波経営がそれらと対峙した形となるのではなく、どうやったら地上波の価値を引き出せるか、或いは他のメディアソースとどう相乗効果を生み出すかといった運営に変える必要があります。