星間訪問者のシナリオ
マルホトラ氏とその研究チームは、これまであまり注目されてこなかった仮説を検討した。それは、星間からの天体が太陽系に飛び込み、巨大惑星の軌道を変えた可能性である。この仮説を検証するため、研究チームはコンピュータモデルを用いて5万回のシミュレーションを実施した。これらのシミュレーションでは、“来訪者”の質量、速度、太陽への接近距離などの条件を変化させた。
特に興味深いのは、木星の2倍から50倍の質量を持つ天体が、太陽から20天文単位(約30億キロメートル)以内に接近するシナリオだ。この距離は、地球と太陽の距離(1天文単位)の約20倍に相当する。
シミュレーションの結果、全体の約1%において、天体の飛来が巨大惑星の軌道を現在の状態に近い形に変化させたことが分かった。このシナリオでは、訪問者が太陽系内を深く進行し、天王星の軌道を越えてさらに進み、一部では火星の軌道近くまで到達した。