例えば、ウイルスの機能獲得研究、遺伝子操作の痕跡排除技術は、米ノースカロライナ大学のラルフ・バリック教授、そして英国人動物学者で米国の非営利組織(NPO)エコ・ヘルス・アライアンス会長のペーター・ダザック氏らとの共同研究を通じてWIVの石正麗氏が獲得していった内容だ。ダザック氏らは米国の税金でWIVのコウモリ研究を支援してきた。米国の感染症対策のトップと言われるファウチ博士も、WIVと関係を有してきた。

ちなみに、機能獲得研究とは、ウイルスの感染力、致死力をアップするための研究で、ウイルス学者からは「非常に危険な研究」といわれてきた。米国のオバマ政権はその研究を禁止したが、数年後、再び許可されたという。ファウチ博士はウイルスの機能獲得研究を支持していた。

ドイツの著名なウイルス学者クリスティアン・ドロステン教授(シャリテ・ベルリン医科大学ウイルス研究所所長)は南ドイツ新聞(SZ)とのインタビュー(2022年2月9日)で、武漢ウイルスの解明を阻止しているのは中国側の隠蔽姿勢にあると明確に指摘したうえで、「実験を知っていた米国の科学者たちの責任」にも言及している。

調査ジャーナリストとして著名なシャリー・マークソン女史(Sharri Markson)は、「中国共産党政権は世界の覇権を握るために世界のグローバル化を巧みに利用し、最新の科学技術、情報を手に入れてきた。武漢ウイルスはそのグローバル化の恩恵を受けて誕生してきたのだ」と述べているが、パンデミックの全容解明が容易ではない大きな原因は中国共産党政権の隠蔽にあることは明らかだが、米国にもその責任の一旦があるのだ。

生物細菌兵器の開発は中国だけではなく、ロシアや米国も行ってきた分野だ。特に、米国の科学者たちは中国の科学者と一緒になって危険な実験を繰り返してきたといわれる。ファウチ博士はその内容を知っているはずだ。世界で700万人以上の死者をだした新型コロナのパンデミックの全容が解明されるまで、ファウチ博士に予防的恩赦を与えるべきではない。