味に差はない(※)。ところが、価格は、お墨付きが118円、フジッコが106円と「逆転」してしまった。プライベートブランドの方がナショナルブランドより高いという、珍現象が起きているのだ。
※あくまで筆者の味覚である
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左:フジッコウェブサイトより 右:西友ウェブサイトより
お菓子でも珍現象が起きている。ポルボローネというスペインのお菓子を例にみてみよう。
西友は24年10月からプライベートブランド(お墨付き)で「ポルボローネ」の販売を開始した。価格は495円(70g)。成城石井も同様の商品「和三盆 ポルボローネ」を以前から販売している。こちらの価格は529円(100g)。グラム換算すると、西友は1グラムあたり「7.07円」、成城石井は「5.29円」。西友の方が成城石井より高いのだ。
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左:成城石井ウェブサイトより 右:西友ウェブサイトより
ナショナルブランドよりも高い。成城石井よりも高い。この価格設定は、ウォルマート時代を知る顧客を混乱させる。結果、顧客満足度が低下する。
「公益財団法人日本生産性本部」の調査によると、スーパーストアの直近(2024年7月)の顧客満足度1位は「オーケー」(2位:コストコ、3位:トライアル)である。同法人では、「推奨意向(お薦め度合い)」、「感動指標」も調査しているが、西友はどの指標でも上位3位内に入っていない。
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2024年度 サービス産業生産性協議会調べ
顧客が店を訪れる理由は、商品に魅力があるか、それとも店舗に魅力があるか、のどちらかだ。前者は、低価格商品が豊富なオーケー、高品質商品が豊富な成城石井など。後者は、圧縮陳列が楽しいドン・キホーテなどが該当する。
商品の価格にバラつきがあり、訪店する面白みに欠ける西友は、「中途半端な店」というイメージが定着してしまったように思う。
親和性が高いのはトライアルその西友が、今、売りに出されている。理由は、高利益商品へのシフトにより、営業利益率が3.9%まで改善したから(2023年12月期)。北海道・九州の店舗売却により身軽になったからだ。「今が売り時」。現在、西友を所有するファンド「KKR」はそう判断したのだろう。