近隣に西友ができて40年が経つ。

「無印良品があるのが羨ましい」。デザイナーの知人に言われたのは、西友がセゾン傘下だった頃。

「安いものが一箇所で買えるのが羨ましい」。関西の友人に言われたのは、西友がウォルマート傘下だった頃。

「なにこれ? ウチの近所の『ラ〇フ』の方がよっぽど安いよ」。隣町の主婦に言われたのは先週だ。

筆者撮影

西友は魅力が低下した(あくまで筆者の主観だが)。主な理由は、高利益商品へのシフトだ。西友社長の大久保恒夫氏は以下のように述べている。

「粗利率がずいぶん低い商品を売っていることがある。部門の担当者に『何でこんな商品を売るんだ』と聞くと、『売れるからです』と。商売の目的は売ることじゃない。利益を稼ぐことだ」

『週刊東洋経済24年6月1日号』

結果、どうなったか。利益率の高い商品が棚を占拠し、消費者にとって魅力的な商品が少なくなった。例えばチョコレートである。以前は、安価で美味しい輸入チョコレートの品揃えが豊富だった。今は、最低でも300円、主に500~900円の高級チョコレートが並ぶ。ここは西友。「成城石井」ではない。

ナショナルブランドより高いプライベートブランド

安価であるはずのプライベートブランド商品はどうか。大久保社長は以下のようにも述べている。

「西友は高品質プライベートブランドの『食の幸』を強化したり、『みなさまのお墨付き』の品質をどんどん上げたりしている。(中略)インフレで少し節約志向が強くなったとはいっても、『高くてもいいもの』が買われるという構図はいつまでも変わらないと思う」

『週刊東洋経済24年6月1日号』

結果、どうなったか。「蒸し大豆」を例にみてみよう。

西友では、西友のプライベートブランド「みなさまのお墨付き 蒸し大豆」(以下お墨付き)と、ナショナルブランド「フジッコ(フジッコ株式会社)の蒸し大豆」(以下フジッコ)を販売している。