どうせ石川県の連中が読んだとしても、たかが1,000人。このうち表立って抗議する者が登場しても数人。といった、心理と思惑があったのではないかと疑いたくなる。

このようにコラム『被災者を背後から撃つ者』は凋落が止まらない毎日新聞の、歯止めが効かなくなった暴走であり、同時になりふり構わぬ断末魔だったと言ってよいだろう。では、毎日新聞に限らず全国紙は誰の、何のための報道を行っているのだろうか。

10%の投票行動を変えるマシーン化

2005年の「郵政民営化選挙」では、小泉純一郎の政策のみならず、彼の「自民党をぶっ壊す」というキャッチフレーズをマスコミが一様に美化して伝え、与党自民党と公明党が圧勝した。この選挙は、マスコミの報道姿勢によって有権者の投票行動が明らかに変化すると、後に多くの人が知る端緒だったかもしれない。

郵政民営化政策の広報宣伝活動のために作られた企画書に、PRすべき対象を「具体的なことはよくわからないが小泉純一郎のキャラクターを支持する層」「B層」と書かれていたのを記憶している人も多いのではないか。

2009年の衆院選では民主党がマニフェストに掲げた争点と類似する「子育て」「雇用」「年金」をマスコミが取り上げ、市井の人を取材して「苦しい現実」を伝えた。この選挙では自民党は119議席と惨敗し、民主党は308議席と圧倒的多数の議席を獲得し政権が交代している。

2005年、2009年の衆院選以前から、全国紙は報道が選挙結果を左右するのを当然のように意識していたが、この二つの選挙を通して更に踏み込んで政権づくりをする経験を積んだのだ。そして「自民党をぶっ壊す」はずの小泉によって自公政権が延命し、安倍内閣、福田内閣、麻生内閣と続いたため、全国紙を筆頭に天下国家を論じがちなマスコミは民主党政権づくりへ向かったのだった。

以降、続きはnoteにて。

編集部より:この記事は加藤文宏氏のnote 2025年1月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は加藤文宏氏のnoteをご覧ください。