また石川県の地方紙北國新聞も、このコラムが地域の分断を図っていると疑問を呈し批判を掲載するほどの事態に発展したが、毎日新聞は訂正どころか公式に釈明すら行っていない。
このような無責任で粗雑なコラムが掲載されたのは単なる記者の暴走ではなく、背景に毎日新聞の組織的、構造的問題がある。
毎日新聞への毅然とした姿勢から、北國新聞が地域に根差し、地域に情報を届ける使命のもと新聞を発行しているのがわかる。いっぽう全国紙である毎日新聞は、販売部数の大幅な減少や読者の高齢化によって大衆が顧客でなくなった結果、幅広い層の利益に奉仕する報道を諦めてしまっている。
全国紙の苦境は前記した通りだが、現在毎日新聞の朝刊販売部数は1,520,000部台で、石川県では1,000部程度しかなく、隣接する富山県では同690部にまで減少したため2024年10月に販売から撤退している。石川県ならびに富山県での毎日新聞の販売部数は、ミニコミ紙や同人誌レベルにまで落ち込んでいたのだ。
以前から地方では全国紙のシェアが小さく、ブロック紙または地方紙が優勢だ。その中でも北陸地方での毎日新聞は風前の灯と言ってもよい状態である。
首都圏をエリアとする毎日新聞東京本社と、近畿圏をエリアとする大阪本社の販売部数を合計すると1,240,000部になる。そして、読者の50〜60%が60歳以上だ。東京と大阪在住の人々や高齢者が関係している事柄に、毎日新聞は地元政治家の名を列記して[保守的な土地柄]と決めつけたり、「東京ウヨ」「大阪ウヨ」「年寄りウヨ」などと差別したりしない。
たとえば神宮外苑再開発に反対するコラムでは、かなり偏っているとはいえ反対せざるを得ない背景を説明したうえで、それでも再開発を容認する一般人を反動的勢力と決めつけてはいない。また池袋暴走事故報道では高齢者と現役世代を分断しないのに、能登半島地震の被災地と被災者には「能登ウヨ」なる造語で差別意識を剥き出しにして被災者を分断している。