しかし、新加入選手に目を向けるとそんな懸念もある程度は払拭できそうだ。注目は横浜F・マリノスから5年ぶりに福岡復帰となるDF上島拓巳。チームを離れた宮やグローリに勝るとも劣らない競り合いの強さを持ち、新たに最終ラインの一角を担う選手として期待できる。また、大分トリニータから加入のDF安藤智哉も190cmの高さを誇り空中戦で圧巻の強さを発揮する。さらに、サイドの選手ではDF志知孝明が3年ぶりに福岡復帰となっており、攻撃面でも楽しみな戦力が加わった。

堅い守りを維持するために重要な守備陣。流出した選手たちの貢献度の高さからその影響は決して小さなものではないだろう。しかし、彼らに代わり新たに加わる選手たちも強さや高さを備えており、同様の役割を十分に期待できる。加えてサイドにはよりチャンスに絡める頼もしい選手が帰還し、攻守に効果的な補強が図れたと言えることから評価を「B」とした。

名古新太郎(鹿島アントラーズ所属時)写真:Getty Images

MF(ミッドフィールダー):評価B

IN

  • 見木友哉(東京ヴェルディより完全移籍)
  • 名古新太郎(鹿島アントラーズより完全移籍)
  • 秋野央樹(V・ファーレン長崎より完全移籍)

OUT

  • 前寛之(町田ゼルビアへ完全移籍)
  • 平塚悠知(ヴァンフォーレ甲府へ完全移籍)

中盤も守備陣と同様に失った戦力も大きいが代わりに得た新戦力も大いに楽しみなものとなっている。2020シーズンの加入以来、変わらずチームの心臓として長谷部体制を支え続けた前寛之が昨季躍進した町田ゼルビアへと移籍。中盤での守備や冷静なパス捌きなど、複数の役割を高いレベルでこなしてきた選手なだけに流出の影響は計り知れない。

それでもなお、戦力ダウンと見るのには早計だと言える要因が新加入選手たちの顔ぶれ。キックの精度や前線からの守備など技術と献身性を兼ね備える名古新太郎、質の高いラストパスで決定機を作り出せる見木友哉といった選手たちをJ1クラブから獲得。さらにJ2からも、昨季リーグ戦を3位で終えたV・ファーレン長崎でキャプテンを務めた秋野央樹を加え穴埋めとするには十分な選手たちを得たと言えよう。