肝心の試合内容だが、ドロップボールで試合が開始されると同時にハイテンションなゲームが展開される。オフサイドルールがなく、スライディングタックルも禁止されているため、多くの得点が生まれ、確かに若者には受けそうではある。

しかしながら、これをサッカーとして見ると物足りなさを感じる。あまりにもせわしなさ過ぎて、サッカーの醍醐味の1つでもある「戦術」があるようには思えないからだ。さらにゲーム性を高めるために採用されたシークレットカードによって試合の「流れ」も排除され、ドタバタとした点取り合戦に終始している印象を受ける。一度見るとその目新しさに惹かれるが、2、3試合も見ればどの試合も同じような展開で飽きてしまうのだ。


イケル・カシージャス 写真:Getty Images

米国や日本でブームを巻き起こす可能性は

冬季と夏季の2シーズン制で開催されているキングス・リーグは、12チームのリーグ戦に始まり、上位8チームによるプレーオフで優勝を争う。

元スペイン代表GKイケル・カシージャス、元アルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロといった往年の名選手や、スペインの人気YouTuberのイバイ・リャノスといったインフルエンサーがクラブオーナーを務める。ゲストプレーヤーとしては、FWロナウジーニョ、FWネイマール、FWアンドレイ・シェフチェンコ、MFアンドレア・ピルロ、MFホアキン・サンチェス、FWジブリル・シセ、DFジョアン・カプデビラ、FWハビエル・エルナンデス、DFパブロ・サバレタといった大物も過去にプレー。日本からは元代表DF那須大亮も、第1回の同大会に参戦した。

ピケ氏は欧州での成功を手にし、今度はアメリカ大陸でキングス・リーグを広めようとしているが、スポーツビジネス大国の米国で成功するかは不透明だ。現在、最も勢いのあるリーグの1つであるメジャーリーグサッカー(MLS)の牙城を崩す作業は簡単ではない。