まず、卵から孵化した幼生は「ゾエア(zoea)」と呼ばれ、透明で小さな姿をしています。
ゾエアは海流にのってプカプカと漂いながら、プランクトンなどの自分より小さな微細生物を餌とします。
ゾエア期は数週間ほど続き、その間に脱皮を始めて「グラウコトエ(glaucothoe)」という移行期に入ります。
グラウコトエになると色も赤くなり始め、見た目もよりカニっぽくなります。
グラウコトエも餌を食べながら脱皮を繰り返して、どんどん大きくなっていきます。
その後、グラウコトエ期が終わると、大人と同じ見た目にぐっと近づいた「稚ガニ」となり、深海底での底生生活に入ります。
今回見つかったアガシイバラガニの赤ちゃんはこの稚ガニのステージにいる個体と見られます。
稚ガニの後は餌を食べながらどんどん大きくなって、成体となるのみです。
ただし稚ガニたちは捕食者に狙われやすいので、死亡率が高く、無事に大人になれる個体も限られてきます。
これも稚ガニが野生下で見つかりにくい理由の一つです。
しかしこの期間を乗り越えると、アガシイバラガニは甲長20センチ幅で、全身をイバラのようなトゲトゲ突起でコーティングした厳(いかめ)しい姿へと成長します。
その最終形態がこちらです。
まさにボスガニ感が満載ですね。
このようにタラバガニの成長過程は私たちヒトと違って、赤ちゃん〜子供〜大人になるまでに見た目が大胆に変わるので、まるでポケモンを見ているようでとても面白いものです。
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参考文献
Watch A Baby King Crab Steal Your Heart, One Adorable Spike At A Time
https://www.iflscience.com/watch-a-baby-king-crab-steal-your-heart-one-adorable-spike-at-a-time-77598