シャチは自然界でも1、2を争う高い知能の持ち主です。
高度な群れ社会を築いたり、鮭の帽子を被るファッションが流行したり、わが子が亡くなるとその亡骸を肌身離さず運ぶことがあったりと、私たち人間によく似ている部分がたくさんあります。
さらに驚くべきことに、シャチは人間が話す言葉をマネできることが知られているのです。
2018年のとある実験で、飼育員が「ハロー」と呼びかけると、シャチが「ハロ〜」と返してきたことが報告されているのです。
嘘だとお思いですか?
では実際の音声を聴いてみましょう。
目次
- シャチは「話術」のスペシャリスト?
- シャチが「人間の言葉」の声マネに成功!
- シャチの声はどこから出ているの?
シャチは「話術」のスペシャリスト?
シャチはその強靭な肉体、高い知能、仲間とのコンビネーションによって、海の頂点捕食者に君臨しています。
シャチの強靭さには映画『ジョーズ』でお馴染みのホオジロザメも完全にお手上げで、南アフリカの海では、地元のサメが外来のシャチを恐れて、慣れ親しんだホームから逃げ出していることが報告されました(African Journal of Marine Science, 2022)。
またシャチは群れのグループごとに多種多様な「方言」を持っており、発声能力も非常に高いとされています。
中にはアシカといった別種の生物の声を模倣するケースも報告されています。
これは獲物であるアシカの声マネをすることで、アシカに「仲間が近づいている」と勘違いさせてバレないように忍び寄るなど、狩りに役立てていると推測されています。
このようにシャチは何種類もの発声を操ることができますが、英セント・アンドルーズ大学(University of St Andrews)のジョゼップ・コール(Josep Call)氏は「シャチの声マネがどれだけ柔軟か確かめてみよう」と考えました。