ラブロフ外相は1972年にモスクワ国際関係大学を卒業した直後、ソ連外務省に入省した時、将来、ロシア外交のトップとなって世界を駆け巡る外交官になろうと夢見ていただろう。今年3月21日に75歳の誕生日を迎えるラブロフ外相は「ウクライナ戦争が始まって以来、プーチン大統領の発言をそのまま語るマリオネット外相だ」と欧米外交筋では冷ややかに見られている。

なお、ソ連時代を含み、外相の在任最長記録はスターリン、フルシチョフ、ブレジネフらのもとで活躍したアンドレイ・グロムイコ外相(1957年から85年の28年間)だ。グロムイコはミスター二ェット(Noの人)という異名で呼ばれ、西側世界との対立の象徴的な存在だった。ラブロフ氏がその記録を破ることができきるだろうか。ただし、そのためには少なくとも2032年まで外相職を務めなければならない。同氏はその時82歳となっている。プーチン政権が継続され、健康問題がない限り、可能性は排除されない。欧米社会はカリスマ性がなく、存在感の乏しいロシア外相としばらくはまだ付き合わなければならない。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年1月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。