私は石破氏が中国偏重になることを悪いとは言いません。ただし、失うものもあるかもしれない、そしてそれはもっと大きなものになるかもしれないと思っています。

ところでカナダはトルドー氏が辞任表明をしたので3月9日に自由党の選挙が行われます。現時点で有望な候補はフリーランド元副首相とマーク カーニー元中央銀行総裁の2名に絞られています。ほかに名前が取りざたされていた候補たちが見事に辞退したからです。理由は仮に首相になってもすぐに野党から内閣不信任案が出る為、少数与党である自由党は解散総選挙をせざるを得ないのです。それが早ければ5-6月とされます。つまり首相になっても3か月の運命なのです。総選挙をすれば政権交代は確実視されています。

カナダの政治の不安定感はトランプ政権になった際、極めて不利に働きます。6月にはG7サミットをカナダが議長国として主催するのですが、首相が誰になるかわからないので議長が誰になるか直前までわからない、そんな状態なのです。これではトランプ氏は「カナダ州」と言いたい放題になるでしょう。私から見れば最悪のタイミングでのトルドー氏の辞任表明だったのです。彼は昨年までに解散総選挙を行うべきだったのです。

何故私がカナダの例を挙げたかといえば日本の政治も同様に方向感が無くなっているのです。いみじくもロシアのラブロフ外相が年頭記者会見において日本の方針に一貫性がなく、自国の意見や考えがないと揶揄しました。私は石破政権になってからますますわからなくなったのです。この国はどこを向いているのだろうと。

数日前、日本製鉄のUSスチール買収に絡み、ライバルであるクリーブランドクリフス社のゴンカルベスCEOが2時間もの記者会見で大放言をしました。その日本批判は見ている方が恥ずかしくなるくらいもの凄い態度でした。USスチールをめぐるビジネス戦争だけのはずなのに「我々の血を吸う」とか「1945年以降も日本は学んでいない」とか「邪悪な中国よりひどい国だ」と言いたい放題でした。