また、ピラニアは魚の中でも際立った咬合力(噛みしめる力)を持っています。

実際、カイロ・アメリカン大学(AUC)の2012年の研究では、ブラック・ピラニア(学名:Serrasalmus rhombeus)は、体重に対する咬合力で比較すると、脊椎動物の中で最も強い咬合力を持つ種の1つだと報告しています。

この強力な咬合力は、大きな顎筋よって生み出されており、素早く噛むことよりも強い力で噛むことを機能的に優先しています。

鋭い歯と強力な顎の組み合わせがが「肉を引き裂く」ことを可能にしているのです。

そしてピラニアの野生種は、この力を使って、川にいる魚や小さな水生動物を食べています。

稀に、川に落ちたひな鳥やネズミの死骸を食べることもあります。

またピラニアは集団で獲物を食べる習性があり、狩りの際には群れを形成することがよくあります。

とはいえ、全ての種がこのような習性を示すわけではなく、単独で獲物を狩る種も存在します。

では、このようなピラニアにとって、人間もまた獲物の対象となるのでしょうか。

ピラニアは人間を襲うのか

ピラニアは確かに鋭利な歯と強靭な顎を持ちますが、その性質は臆病であり、基本的には自分から生きた大型の動物に近づくことはありません。

ピラニアが「人を食べる魚」として知られているのは、メディアによる誇張が原因です。

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「人食い魚」はメディアによる誇張 / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

しかし稀に、限定的な条件で、ピラニアが人を襲うことはあります。

例えば、乾季で川の水位が低く、餌が少ない時期にはピラニアたちが密集することがあり、そのようなストレスのかかる状況で、人間を襲うことがあります。

またピラニアは血液の匂いに非常に敏感なため、出血状態にある人が川の中に入ると、獲物の存在を示す信号としてピラニアを興奮させ襲われる可能性を高めます。