しかしティールとかマスクとかヴァンスとかの、トランプを支持する系のアメリカ人は、絶対そうじゃないわけですね(苦笑)。
彼らはおそらくジラールをもっとニヒルに、「世界が生贄を欲するのは必然だ、諦めろ」的に読んでいる。その上で、むしろ大事なのは誰が生贄になるかが固定されないことだから、社会の変化を高速化して色んな奴らを「平等に蹴落としまくる」ことに、一種の公正さを見出している、たぶん。
IT業界の成功者が唱えるテクノ・リバタリアニズムは怪しいけど、それがウケる背景にもまた、「ぶっちゃけ、究極的に言えば俺らみんな詐欺師やん?」なアメリカの風土があるのでしょう。
イーロン・マスクの政権入りによって、そうした「詐欺師でナンボ主義」は、いよいよアメリカという国家の哲学になろうとしています。
第2次トランプ政権の下で、日本人は自らの感性とは正反対の、ニヒリストで攻撃的に ”Deal” を叫ぶ寅さんがマジョリティな同盟国とつきあうことになる。必要なのは「誰が最初にトランプに会うか」みたいな話じゃなくて、そうした省察であり、心の準備だと思います。
参考記事: いずれも『反知性主義』を引用
道化師たちの日米選挙: なにが「チンドン屋のお祭り」を民主主義にするのか|Yonaha Jun
大接戦で勝者の確定に時間がかかる、と目されてきたアメリカの大統領選挙は、あっさりとトランプの当選が決まってしまった。「2016年の雰囲気に似てきた」とする先月の不吉な予感が、遺憾にも当たった形である。
フォークナー『響きと怒り』上・下 | 與那覇 潤 | 文藝春秋 電子版 来月に迫る米国の大統領選挙で、ハ...
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