経済が発展し、国民が様々な財やサービスに接すれば接するほど本国では賄えないものをなるべく安く入手する必要があるのです。まさか現代社会において貿易相手国を植民地化するわけにはいかないのでそれに代わってできたのが経済連携と言ってもよいでしょう。
では現代社会でもっとも欲しいものは何でしょうか?資源や食糧を別にするとたぶん半導体ではないかと思います。では競争力のある半導体を作っているのは誰か、といえば台湾と韓国がメインでしょう。ところが半導体のように高度な技術を要する製品だと半導体の製造装置を作れる国はそうたくさんありません。これが日本、オランダ、アメリカあたりでしょうか?更に半導体設計となるとアメリカが強いのです。つまりごくわずかの国家に財の供給ができる能力が偏っているとも言えるのです。
しかも最重要品目については各国とも厳しい輸出制限のルールを設定しています。いわゆる輸出規制です。そのため、一部の国では必要なものが入手できず、そのために不正な方法も含め、技術の取得、自国での製造を進めたい野望が生まれるとも言えます。
こうなると各国は仲良くせざるを得ない、これが私の見る近年の経済連携の枠組みであり、一定の規模の経済の追求であるとも言えます。先日の日経に移民の動きが域内に留まる傾向が強いという分析記事がありました。たとえば東南アジアの人なら移民しても東南アジアの別の国に留まるというものです。
こうなると世界各国は紛争を良しとしないはずです。ところが一部の大国、つまりアメリカと中国は自給自足ができるだけの資源、国土、人口、経済規模、政治力を持っているため、上から目線になりやすくなる、これが私の見る別の意味での国際秩序です。そしてこの二大大国が好む好まざるにかかわらず、世界でルールを作り出そうとしているとも言えます。この構図は我々の歴史にはなかったのです。かつての大英帝国の時代でも自給自足ができたわけでも十分な人口がいたわけでもなく、現代でいう大国ではありませんでした。