一方で、現状のあたかも「20歳が新成人であるかのような自治体の扱いやメディアの発信」は、同時に、ようやく成人となり選挙権が与えられた「18歳や19歳が成人ではない」という誤った印象を拡大し、法の趣旨であった「18歳,19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり,その積極的な社会参加を促すこと」を否定することになりかねない点だ。
2つ目は、民法等の改正による一連の18歳成人により社会の仕組みは大きく変わった。法令改正や施行までの期間で官民で検討して準備してきたことではあるが、消費者問題など様々な問題が発生しないかと懸念する方などもいる状況である。
「成人(大人)になるあなたへ」と題した市川市の公式サイトでも、消費者庁や千葉県、消費者センター、銀行、国民生活センターなどからの注意冊子が添付されている。
こうしたことから考えれば、むしろ注意を伝えたり啓発しなければならないのは、従来通りの20歳の方々ではなく、むしろ制度改正によって影響の出る18歳と19歳なのではないだろうか。にも関わらず、後付けのように平気な顔で20歳の式典で情報共有することで、新たに成人となった18歳や19歳に対して全く働きかけを行わないことを正当化している点だ。
3つ目が、EBPM(Evidence Based Policy Making =証拠に基づく政策立案)の必要性などが求められる時代において、これからの行政は、アウトカム(政策の成果・目的)に基づいての実施が大前提になり、これまで実施してきた政策・施策・事務事業についても、その必要性と効果によって見直していく必要性があるにもかかわらず、この転換期に自らの役割と考えることを放棄し、「できない理由」だけをならべ、「赤信号みんなで渡れば怖くない」と護送船団方式で前例踏襲を決め、意味のない政策を全国で今後継続して実施することを決めたことだ。
「18歳,19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり、その積極的な社会参加を促すこと」はどこへ・・・民法の改正に伴い、成年年齢を18歳に引き下げた理由について、法務省では、