FWピエール=エメリク・オーバメヤン(現アル・カーディシーヤ)は、アーセナルがUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場圏外から遠ざかっていた苦しい時代のクラブを象徴する選手の1人。ベンゲル監督の晩年からウナイ・エメリ監督(現アストン・ビラ)が指揮していた2018/19シーズン、そしてアルテタ監督の初期まで所属した(2018-2022)。

平凡なチームにあっても、オーバメヤンのパフォーマンスは並外れていた。特にアルテタ監督が指揮を執り始めた最初の半年間は重要なゴールを連発し、2019/20シーズンのFAカップ優勝という快挙を達成。中位に位置したシーズンの中で、クラブを救う存在だったのは間違いなかった。ゴールへの嗅覚とペナルティーエリア内での圧倒的な活躍ぶりから、オーバメヤンが苦境から引き上げる象徴的な選手と見なされたのも無理はない。

しかし、2020年9月に31歳で3年契約を結んだ後、オーバメヤンの全盛期が過ぎていることが急速に明らかになってしまった。また、キャプテンでありながらの遅刻での規律違反や、新型コロナ感染でのチーム離脱とさまざまな要素が重って次第に構想外となり、契約はなんと18か月も早く解除に。2022年2月、バルセロナに移籍した。大胆な契約解除の決断には賛否両論あったが、時間が経つにつれて正当化される結果となった。

マーカス・ラッシュフォード 写真:Getty Images

マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)

2022年のFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会後、2022/23シーズンリーグ中盤戦の約6週間は、FWマーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)が、欧州で最も好調な選手といわれた時期であった。そして間違いなく現在も続くユナイテッドでのキャリアにおける最高の時期であった。

同時期のラッシュフォードは、56試合に出場してキャリア最高の30ゴールを記録すると同時に9アシストをマーク。カラバオカップ決勝のニューカッスル・ユナイテッド戦(2-0)ではゴールを決め、当時のエリック・テン・ハフ監督就任初シーズンにチームは3位と躍進し、クラブ内得点王でもあった。ユナイテッドの個人賞、サー・マット・バスビー年間最優秀選手賞を初受賞してシーズンを終えた。