2024シーズンのJ1リーグを15位で終えた湘南。シーズン序盤は[4-4-2]と[3-1-4-2]の2つの布陣を使い分けており、GKや最終ラインからロングボールを蹴る場面が多かった。

自陣でボールを失うリスクを回避する意図が窺えたものの、ロングパスの送り先が主に相手センターバックの手前や背後であったため、相手チームとしては対応が容易に。ロングパスが相手センターバックの背後へ落ちたとしても、相手GKが飛び出して対応しやすい。また、ロングパスが相手センターバック手前に落ちてこれを弾き返された場合、このボールがそのまま相手チームの速攻や中央突破に繋がりかねない。昨シーズン序盤の湘南は、まさにこの現象に陥っていた。

ロングパスの送り先は相手にボールが渡ったとしても速攻に直結しにくく、相手GKとしても飛び出しづらいサイドバック(ウイングバック)の背後に設定するのが得策と言える。相手サイドバックの体の向きを変え、楽な体勢でクリアできないようなロングパスを攻撃の初手とするのが理想的だが、昨シーズン序盤の湘南はこのセオリーに反する攻撃を連発していた。

また、基本布陣[4-4-2]のサイドバックや[3-1-4-2]のウイングバックがタッチライン際かつ低い位置(味方センターバックとほぼ同列の位置)でボールを受けることにより、その後のパスコースが無くなる場面がしばしば。サイドバックやウイングバックがここでボールを受けた場合、自身の傍にはタッチラインがあるため、パスコースが必然的に180度方向に限られる。これに加えサイドバックが相手選手の寄せを浴びれば、その後のパスやドリブルの成功率は極めて低くなる。ロングパスの送り先や攻撃配置の悪さが災いし、湘南は昨年2月から6月のリーグ戦で僅か3勝と、極度の成績不振に陥った。

2025シーズン新体制発表会 湘南ベルマーレ 写真:今﨑新也

夏場に整った攻撃の基盤