その研究では、対象者を次の3つのグループにランダムに分けました。
コントロール群:普段のセット数を維持
30%増加群:普段より30%多いセット数を実施
60%増加群:普段より60%多いセット数を実施

トレーニングの期間は8週間、頻度は週2回、種目はスクワット、レッグプレス、レッグエクステンションの3種目です。

スクワットは筋トレの王道種目
スクワットは筋トレの王道種目 / Credit: 写真AC

結果として、筋肉の厚さは、どのグループでも似たように増加しました。

また、最大筋力の指標であるスクワットの最大挙上重量は、どのグループでも増加しましたが、最も著しく増加したのはセット数を増やさなかったコントロール群でした。

これらの結果は、セット数を増やすことがトレーニング効果を高めることに繋がるとは限らないことを意味しています。

では、なぜセット数を増やした2つのグループで、筋肥大や最大筋力の増加の効果が高まらなかったのでしょうか?

考えられる原因の1つは、コントロール群が普段実施していたセット数(約12セット/週)でも、すでにトレーニング効果を得るために十分な負荷を確保できていた可能性があるという視点です。

もちろん、トレーニング量を増やすことは筋肉への刺激を高めるプラスの要素がありますが、それに伴い疲労が蓄積し、トレーニング間での回復が追いつかなくなるなどのマイナスの要素も生じます

ソウザ博士らも得られた結果をもとに、「必ずしも“より多く”が筋肉の適応に良いとは限らないことを示唆しており、週あたりのセット数が広範囲にわたって筋肉の成長に寄与することを強調している」とまとめています。

もちろん、多くトレーニングをすることが好きな人にとっては、同じくらい筋肉が大きくなるのであれば、多くやっても良いじゃないかという捉え方もできるかもしれません。

ただし、セット数が増えるということは、基本的にトレーニング時間が増えます。

セット数が増えると、トレーニング時間は長くなりがち
セット数が増えると、トレーニング時間は長くなりがち / Credit: 写真AC