トレーニングの期間は8週間、頻度は週2回、種目はレッグプレスとレッグエクステンションです。
結果として、意外なことに、大腿四頭筋(太ももの前面)の筋肉の厚さは、どちらも同じくらい増加しました。
つまり、毎セット1〜2回余裕を持たせて終わったとしても、出来なくなるまで追い込んだのと同じくらい筋肉が大きくなったのです。

ではなぜ、毎セット最後まで頑張ったのに、トレーニング効果が高まらなかったのでしょうか?
この理由の1つとして、最初の1セットから頑張り過ぎたことで、筋肉や神経が早くに疲れてしまい、2セット目以降のトレーニングの質が落ちたことが影響している可能性があります。
実際、この実験においても、セットが進むにつれての反復回数の減少は、毎セットできなくなるまで追い込んだ脚の方が著しくなっていました。
したがって、仮に追い込むことが好きな人であっても、序盤のセットでは、あえて余裕を残して終わり、終盤のセットまで余力を残した方が、結果としてトレーニング全体の負荷を高められるのかもしれません。
次のページでは、週当たりのセット数という観点から、頑張り過ぎなくても効果が得られることを説明していきます。
ある程度のセット数を確保しておけば、維持するだけでも効果は得られる
筋トレ愛好家や、パーソナルトレーナーなどの指導者の多くが大切にしているトレーニングの原則の1つに、漸進性過負荷があります。
漸進性過負荷とは、トレーニング効果を効率的に獲得し続けるために、トレーニング負荷を少しずつ増やすという漸進性と、通常の負荷よりも高い負荷をかけるという過負荷の要素を合わせたものです。
漸進性過負荷をかける手段には様々なバリエーションがありますが、その中でもセット数を増やすことは典型的なアプローチです。
今回、アメリカのタンパ大学(The University of Tampa)のエドゥアルド・オリベイラ・デ・ソウザ博士らの研究グループは、3年以上の筋トレ経験を持つ男性の筋トレ愛好者を対象に、週あたりのセット数とトレーニング効果に関する興味深い実験結果を発表しました。