その際、テニスとバドミントンを「ラケットスポーツ」として統合するなど、必要に応じて広いカテゴリーに分類しました。

そして、トップアスリートの寿命を一般層と比較するために、世界銀行の平均寿命データを活用し、性別、国、時代の影響を考慮しながら分析を行いました。

早速結果を見ていきましょう。

分析対象者の95%以上が男性の元アスリートだったため、まずは男性の結果を見てみます。統計的に、最も長寿に関係する種目は棒高跳びと体操で、約8年の寿命延長が見られました。

その他にも、フェンシング、陸上競技の混合(複数の種目に取り組んだ者)、野球なども寿命が長い結果が得られました。

研究グループは、有酸素運動と無酸素運動が組み合わさるスポーツに取り組む人たちの寿命が長い傾向があることを指摘し、持久力の向上や血圧、体脂肪率の低下、筋肉量の増加、高い骨密度など、健康面でのさまざまな利益に結びついていると考察しています。

有酸素性と無酸素性の運動刺激は健康につながる
有酸素性と無酸素性の運動刺激は健康につながる / Credit: Canva

このような視点は、トップアスリート以外の運動好きにも参考になります。

実際、別の研究でも、有酸素運動(例:ジョギング)と無酸素運動(例:筋力トレーニング)の両方を取り入れることで、どちらかを単独で実施するよりも健康面に好影響が期待できることが分かっています。

一方で、分析の結果、寿命にマイナスの影響を与える可能性のある種目もあることが分かりました。

次のページでは、寿命に悪影響を及ぼす可能性のある種目や女性の元トップアスリートの結果を見ていきます。

女性アスリートの結果が不思議

男性の元アスリートの場合、ボクシングや武道(柔道やテコンドーなど)、バレーボール、相撲などの種目は寿命が短く、特に相撲は約10年も短命という統計が得られました。

これらの競技に取り組む男性の寿命が短い理由としては、脳震盪などの特有のダメージや、特に力士に課せられる極端な食事が影響している可能性があります。