脱炭素、炭素中立などの政策は理想的に見えるが、多くの場合、莫大な投資、信頼性の高いエネルギーシステムの混乱、そして家庭や企業に対する過剰な負担を強いることになる。また、疑わしい利権を伴うものであり、人々や産業に対して明らかに悪影響を及ぼす。

こうした疑わしい取り組みのために、同州の経済やエネルギー安全保障を危険にさらす必要性はなく、そうした怪しい取り組みを拒否することを求めている。

要するに、この法案は現状に挑戦することを最大の目的としており、今こそ、CO2や気候変動についての議論のあり方を再考すべきだとしている。

この法案は、明確な現実主義と真実に基づき取組むことを求めている。ワイオミング州は、バランスの取れた科学的根拠に基づく対話を主導するために、大胆な一歩を踏み出したと言えよう。

法案化の狙いと我が国の対応の現状

この法案は気候変動に関する科学的仮説に挑戦するものであり、CO2の基本的な役割についての議論を同州の知事や州民だけではなく、全国的に展開されることを狙いとしている。CO2を正しく認識し、CO2を賢く活用することによって、エネルギー分野、農業、輸送、その他すべての産業がCO2の恩恵に与ることが可能となる。

日本では、CO2の削減や回収・利用、炭素税、炭素会計などの議論が中心であるが、米国では科学的な根拠に基づき、CO2の基本的な理解や位置づけを再評価し、正しい理解の下に、CO2削減の必要性や割合、それによる生活や産業への影響やリスクについての議論を行おうとしている。

米国の政治家や官僚は、気候科学の専門家の意見をよく聞き、気候変動運動の実態について理解を深めている。トランプ次期政権や共和党の多くが気候変動に反対し、パリ協定から即刻離脱しようとするその動きの背後には、このような基礎的な問いかけがあることを我々も再認識しなければならない。

一方、我が国の政府や産業界を振り返ってみれば、「グローバル・スタンダード」だといって、EUや国連、WEFなどの自称「トップエリート」たちの指令に追従し続けている。彼らには、専門家の意見を聞き、適切な判断と勇気ある行動がとれないのであろうか?そこに日米間の大きなパワーの差を感じる。