2024年10月、ワイオミング大学とJX石油開発株式会社、一般財団法人カーボンフロンティア機構がCO2の鉱物化に関する覚書を締結した。この協力により、CO2を地下で鉱物として固定する技術の研究開発が加速すると見られている。

これらの取り組みを通じて、ワイオミング州はCCUS技術の先進地域として、環境保護と経済発展の両立を目指している。

『Make Carbon Dioxide Great Again』法案

こうした動きがある中、米国ワイオミング州のチェリ・スタインメッツ上院議員が、『Make CO2 Great Again(CO2を再び偉大にする)』法案を提出した。この法案は科学を否定するのではなく、科学を活用することを目的としており、「気候変動に関する科学的仮説」を徹底的に再評価し、実用性、現実性、実現可能性、つまり常識に基づいた政策を提唱するものだという。

この法案の基本的な立ち位置をまとめると:

二酸化炭素(CO2)は地球上の生命にとって欠かせない存在であり、CO2がなければ植物は成長できず、植物がなければ生命は存続できない。科学者や農家も、高いCO2濃度が農業生産性を向上させることを認識している。

植物はより多くのCO2がある環境で成長が促進される。植物はより速く成長し、水を効率的に利用し、干ばつにも強くなる。NASAの研究によれば、CO2濃度の上昇が地球全体で「緑化」効果をもたらし、植生が拡大し、生態系の繁栄を助けていることが示されている。CO2は植物の「栄養源」である。

生命維持に欠かせない役割を果たしているにもかかわらず、CO2は汚染物質として悪者扱いされてきた。私たちが排出しているCO2は、自然の炭素循環の中でごくわずかな割合を占めているにすぎない。

現在のCO2濃度は、地球の長い歴史の中で最も低い水準のひとつである。過去、CO2濃度が現在よりもはるかに高い時代があり、そのとき生態系は繁栄していた。

この重要な気体を悪者扱いするのではなく、生態系や産業におけるその役割を認識し、私たちの生活にもたらす恩恵を守るべきだ。

ワイオミング州は、CO2が現実の世界で果たす重要な役割を理解しており、CO2を直接利用することの利点も認識している。同州の産業ではすでにCO2を利用して石油回収を促進し、エネルギー生産をより効率的にしている。

この法案が要求するもの

この法案はCO2に対する考え方を転換するものであり、このCO2という重要な気体を汚染物質や有害物質として扱うことをやめることを求めている。また、脱炭素化やカーボンネガティブ、ネットゼロの義務化といったCO2排出削減を目指す政策を、冷静かつ明確に見直すことを求めている。