ここまで聞くと確かに、冬の寒さの感じ方と、自己対象化傾向が関連するだろうことは想像できます。

「寒さを無視したファッションは、快適さよりも美しさを優先する女性の外見に対する歴史的基準と一致しています。

ビクトリア朝時代のコルセット、ハイヒール、美容整形はすべて、見た目のために不快感に耐えている例と言えるでしょう。

ここでは根本的に同じ心理的メカニズムが働いているのではないかと考えました」

このようにフェリグ氏は、自己対象化理論の枠組みを利用して、今回の現象について調査することにしたのです。

寒いけど我慢できてしまう理由

研究チームは、米国の大都市でナイトクラブやバーの外に立っていた224人の女性に対して、気温が7℃~14℃の肌寒い2月の夜に聞き取りを行いました。

冬でも肌を露出されるファッションは珍しくない
冬でも肌を露出されるファッションは珍しくない / Creditjp.depositphotos

ここでは服装の選択には関係なく、現在の寒さをどのように感じているかと、心理学の質問票で自己対象化傾向の評価を行いました。

同時に、彼女たちの服装も撮影させてもらい、肌の露出量も数値化しています。

これらを総合して分析した結果、自己対象化傾向の低い女性は、肌の露出と寒さの感じ方に相関がありましたが、自己対象化傾向の強い女性は、肌の露出が多い場合でもあまり寒さを感じていないことが判明しました。

つまり、オシャレにのために露出を増やしていた女性は、自分の見た目や見られ方に意識がいってしまっており、外気温度を正確に認識しづらくなっていたのです。

(もちろんバーの近くで調査したので、研究者たちは彼女たちが酔っているかどうかも考慮しています)

寒いけど我慢できるということの裏には、どうやらこうしたメカニズムが働いていたようです。

この研究はあくまで観測データであり、厳密に調査するための実験モデルを設計して調査されているわけではありません。