また彼は私生活でも一風変わった人物として良く知られた。最初は一匹の犬が唯一の相棒だった。その犬が亡くなると、そのクローン犬を5匹育てている。その5匹の犬の名前はオーストリア学派とシカゴ学派の著名学者の名前を付けている。しかも、問題があると、その問題の内容によって相談する担当の犬がいて、その犬から回答を得ているという。それをテレビ対談などで真顔で語るので、ミレイ氏は「気の変な人物だ」という異名がついた。と同時に、彼は神様の力を信ずる人物でもある。
長年の慢性インフレから僅か11カ月で脱却筆者がミレイ氏を取り上げたのは、昨年12月に大統領に就任して僅か1年でアルゼンチンの長年の慢性病であった高騰インフレから脱却させたからである。これは奇跡と言えるほどの偉業だ。ミレイ氏は高騰インフレから脱却するには歳出の削減と財政の黒字化。インフレを誘う紙幣の発行の禁止。これらのことをほぼパーフェクトに実行して行ったのである。彼が大統領選の決戦投票で56%の支持を集めて勝利したが、1年経過した現在でも50%以上の支持率を維持している。
歳出削減ということで、それまで政府から多くの部門に補助金が支給されていたのも大幅に削減。それは特に貧困層に影響を与えている。しかし、それでもインフレから解放されて、給与アップ率が物価上昇率を上回ったのである。また、政府で不必要な部署や業務が重複している部署も廃止した。それで3万4000人の官僚を解雇して歳出を削減した。ゼネストもこれまで2回経験しているが、労働を意味なく邪魔する労働組合を弱体化させる方向に向かっている。それを国民もまた支持している。
また公営企業についても民営化にする課程を既に歩んでいる。
選挙で公約したことは必ず実行に移しているミレイ氏は選挙戦で有権者に公約したことを実行している。単に、選挙戦の公約だけで終わっていない。勿論、彼が所属している政党「自由なる前進」は議会では非常に少数派でしかない。それでも法案ごとに野党を説得して賛成に回られているのである。それには、今も国民からの支持率が断然高いというのが強力な味方になっている。だから、野党も国民には逆らえないのである。
日本で首相公選制なくして改革は無理だ