中国代表に話を移すと、チーム強化のため帰化戦略も採られ、アーセナルに所属していたMFニコ・イェナリスや、エバートンに所属していたDFティアス・ブラウニングといった中国系の英国人を帰化させた。さらに全く中国に縁のない5人のブラジル人(FWフェルナンジーニョ、FWアロイージオ、FWエウケソン、MFリカルド・グラール、FWアラン・カルバーリョ)も帰化させたものの、コロナのパンデミック中にこの5人は全員中国を離れ、戻ってきたのは2人だけ。リカルド・グラールは広州FCの給料未払いを理由に中国を去り、中国国籍も手放している。
中国のサッカー熱が再び盛り上がるには
しかし、これだけ解散したクラブがあるにも関わらず、1998年の横浜フリューゲルス消滅の後に市民クラブとして立ち上げられた横浜FCのようなケースが出てこない理由としては、中国が共産主義国家であるが故、市民自らの手でクラブを結成しようという機運が高まらないことが挙げられるだろう。良くも悪くも、中国共産党の一党独裁体制の政治によって受け身とならざるを得ない国民性が壁となっているのではないか。
近年になって、甲級リーグ、乙級リーグに属する地方都市のクラブでは、市民の手で地域密着型の運営を図り成功している例が出てきてはいるが、実力的にスーパーリーグにまでには及んではいない。また、日本以上ともいわれる少子化社会の中、若いサッカーファンの興味が欧州サッカーに向いてしまっているようだ。
かと言って、スーパーリーグのスタンドに閑古鳥が鳴いているわけではない。2024シーズンは平均19,431人もの観客動員を誇っている。この数字は最盛期には遠く及ばないものの、J1リーグに匹敵するものだ。ビッグネーム路線は諦めざるを得なくなったが、身の丈に合った経営に努めれば、まだまだ持続可能な状態とも言える。