ノートPCは前年同期比128.7%
テレビや音響機器などデジタル家電の国内出荷データをまとめる電子情報技術産業協会(JEITA)では、24年1~10月の国内出荷金額は市場全体で8482億円(同92.6%)と前年割れだった。
ただ、23年は映像機器、オーディオ関連機器、カーAVC機器の全部門で前年割れだったのに対し、24年は映像機器が4149億円(同103.5%)となるなど明るい兆しもある。ちなみに、オーディオ関連機器は517億円(同91.8%)、カーAVC機器は3817億円(同83.2%)だった。
ノートPCも好調だ。PC全体では24年4~10月の国内出荷金額は4877億円(同121.3%)と大きく伸長。中でもノートPCの4191億円(同128.7%)が全体を引っ張っている。
もっとも、全国の家電量販店やECショップのPOSデータをもとに集計したデータベースで、いま売れているデジタル家電が正確に分かる「BCNランキング」では、前年同期の数字が悪すぎたので今期がよく見える点は注意が必要だ。
いずれにせよ、JEMAとJEITAのデータを見ても明らかなように24年上期を振り返ると全体としては決して悪い状況ではない。長引く猛暑という季節要因はあるが、アフターコロナの家電市場の回復も見て取れる。
最大手のヤマダHDは主力の「デンキ」が回復
家電量販企業の25年3月期上期決算をみよう。最大手のヤマダホールディングス(ヤマダHD)の売上高は7960億100万円(同102.7%)、営業利益は232億2700万円(同114.1%)、経常利益は248億3100万円(同105.0%)の増収増益だった。
セグメント別で見ても「デンキ」「住建」「金融」「環境」で前期を上回った。特に主力事業の家電販売の「デンキ」と「住建」は昨年が前年割れだったが、今期は前者が6585億4200万円(同102.2%)、後者が1266億1500万円(同105.5%)と回復した。
住宅ローンやクレジットカード、災害保険などの「金融」も22億8900万円(同129.1%)、リユースやリサイクル事業の「環境」も169億3100万円(同103.7%)と、デンキ以外の領域の成長が注目だ。ここ数年取り組んでいる、家電販売以外の事業が成長エンジンになりつつある。
下期は今期最大の目玉施策ともいえる店舗面積約1万3000平方メートルの「Tecc Life Select 湘南平塚店」が24年10月25日にオープンした。初日は近年まれに見る賑わいだったので、さらなる売上高の積み増しが期待されるだろう。主力の「デンキ」が完全復活すれば、ヤマダHDのさらなる進化につながりそうだ。