今回のロシアによるウクライナ侵略を見ても、1991年のソ連崩壊後ウクライナには大量の核兵器が残され世界3位の核保有国であったが、ウクライナの安全を保障する1994年12月の米英ロが署名した「ブタペスト覚書」をウクライナ側が信じてすべての核兵器を放棄したからこそ、クリミア半島を含めロシアによる侵略を受けたことは明らかである。
なぜなら、ロシアにとっても世界3位の核保有国であるウクライナに侵攻すれば、最終的には核兵器による反撃を覚悟せざるを得ず、核戦争になる危険性を排除できないからである。ウクライナに対して上記覚書に合意させたクリントン米国元大統領もウクライナの核放棄がロシアによる侵略の原因となったことを認めているのである(ニューズウイーク日本版2023年4月6日)。
以上の事実は、通常戦力および核戦力による抑止力の重要性を証明しており、共産党の「戦争の準備ではなく平和の準備をせよ」との主張は、抑止力の重要性を全く無視する危険極まる主張であり、日本を守れないことは明らかである。
さらに、仮に、共産党が主張する通り、日本が防衛力・抑止力の強化をしなくても、そのために中国、北朝鮮、ロシアが軍拡をしない保証は全くない。なぜなら、これらの国は日本のみならず米国を仮想敵国としているからである。