第四に、NHKの調査結果の調査結果です。この調査では、延命治療を希望する(尊厳死を希望しない)人の73%が「安楽死を認められる」と回答しています(「どちらかといえば認められる」を含む)。この結果は、安楽死は尊厳死の単なる置き換えではないと認識している日本人が一定数いることを示しています。

第五に、「尊厳死の適用の基準をガチガチに定めてしまうと、実際の現場においての尊厳死の実施がかえって困難になる」という反論があるため、コンセンサスを得るのが難しいという問題があります。

したがって、尊厳死の法制化が完了してから安楽死の法制化の議論を始めるといった順序に拘る必要はなく、安楽死の法制化を先行させても問題はないはずです。

法制化を念頭に置いた日本に適した不備のない安楽死の制度設計をするには、 それなりの時間がかかります。 国会においての法制化の議論を時期尚早と先送りすることは、国会議員の怠慢としか私には思えません。

次稿では安楽死を実施する場合の問題点について考えてみます。

(その③につづく)