とはいえこのデズモンドさんは「自由主義社会側」の育ちなので、ガチ中国人なら疑問を持たないような部分にも一応毎回疑問を持ちつつ、冷静な筆致で「実際にそこで起きた事」を丁寧に書いているので、すごく読みやすいし面白いです。
でもその後、ホイットニーさんとは徐々に考え方の違いから衝突するようになり、離婚して息子を連れて英国に別居したんですが、その後ホイットニーさんは(おそらく中国国内の政治闘争に巻き込まれて)突然行方不明になってしまったそうです(恐ろしい・・・)。
最後のところで、筆者が中国の現体制に対する怒りを述べている部分があるんですがなかなか切実でした。(自分は子どもの頃から中国への愛国心を持って育ち、大人になってからはビジネス面で数々のプロジェクトを成功させて貢献してきたのに・・・という話に続き↓)
だが、いったいどんな体制が、ホイットニー・デュアン(筆者の妻)を襲ったような違法な拉致を許可するのだろう?人を世の中から消し去り、そのことを両親や息子にも知らせもしない権利を捜査機関に与えるのは、どんな体制なのだろう?アリストン(二人の息子)は当然、母親に会いたがっていたが、彼や私達みんなを最も苦しめたのは、彼女に何が起きたかわからないことだった。ホイットニーはどこにいるのか?果たして、生きているのだろうか?
- ”絵に書いたような汚職国家”で飛び交う札束の金額の大きさ
とはいえ筆者とその妻が、成功するまでの間に相当に危ない橋をわたったのも事実で、そのプロセス自体は不謹慎ですが他人事としてみるなら「面白い」エピソードに事欠かない感じではあります。
奥さんのホイットニーさんは、あの温家宝首相の奥さんである「張おばさん」という人の懐に入り込んで、おばさんの望むことをどんどん先回りして実現する存在になりきることで、中国で重要な有力者とのコネ=「関係(グワンシー)」を築いていくわけですね。