連邦政府の土地と水域での掘削活動のシェアは、米国の石油生産量の25%、天然ガス生産量の12%を占める。バイデンの禁止覚書が、これらの増産によってガソリン価格を下げ、インフレを抑え、延いてはウ・ロ戦争終結に繋がるロシア窮乏化を目論む、次期トランプ政権のエネルギー対策パッケージの推進にどの程度の影響を与えるか注視したいところだ。
バイデン政権は12月19日にも、米国の温室効果ガス排出量を35年までに05年レベルから61~66%削減するという新たな国別貢献(NDC)を発表した。これは30年までに半減させるという従来の約束を強化するものだ。が、最初の任期中にパリ協定から離脱(バイデン政権で復帰)したトランプ政権は、1月20日以降に改めて離脱する取る可能性が高かろう。
関連してバイデン政権は12月30日、二つの地域の保護措置を発表している。一つはネバダ州ルビー山脈の約264,000エーカーの地域での新たな採掘権を20年間認めない措置であり、他はワイオミング州のグランドティトン国立公園の恒久的な保護と640エーカーの土地の購入だ。第1次トランプ政権はオバマ政権が国立公園に指定したベアーズ・イヤーズとグランド・ステアケース・エスカランテの保護を撤回したが、バイデン政権が保護を復活させた経緯がある。
これらの容易く撤回したり復活したりできる措置の指定は、指定そのものが本来の目的というよりも、次期政権による撤回が国民に与える印象に重きを置いた、ある種子供の喧嘩の類に思われ、やるなら末期でなく政権発足当初にやれよ、と言いたくなる。
そこでバイデン政権発足時のことを思い出すと、バイデンはトランプ肝煎りのキーストーンXLパイプライン工事の認可取り消しと国境の壁建設の停止の大統領令を就任当日に発した。前者は既にパイプなどの資材が売却され、復活不可能とされる。資材売却と言えば『Hill』は12月27日、バイデン政権が国境の壁の資材を処分するのを阻止した、とのテキサス州司法長官の発表を報じた。バイデン政権はまったく油断ならぬ。