日本は1970年台の2次に亘る石油危機を、小型車による世界自動車市場の席巻、素材産業から組み立て産業への転換等、国際競争力強化という正道で克服し、経済大国として台頭した。

今、ロシア・西側の厳しい対立、ドミノ倒しのように紛争が拡大する中東、中国が脅かす海洋秩序―国際石油供給の基盤が揺らぐ中で、省・脱石油に向けた創造力の発揮が、日本にとって再び喫急の課題である。

8兆円を費やして石油燃焼後の二酸化炭素しか残さぬ補助金も、今日に妥当する合理的根拠を一切欠き、且つ60余年前の制定時を実質的に遥かに下回る本則税率への回帰も、共に不要なのだ。

小山 正篤 国際石油アナリスト。1985年東大文学部卒、日本石油(当時)入社。米・英系の調査会社、サウジアラムコ本社などを経て、現在フリーで活動中。米ボストン在住。タフツ大・修士(国際関係論)。