死んでいるはずのイカに醤油をかけると、激しく身をくねらせる凄まじい光景。
これは北海道・函館の「一花亭たびじ」で食べられる「活いかの踊り丼」です。
イカが急に動き出すこの衝撃的な料理は、海外でも「踊るゾンビイカ(dancing zombie squid)」として大きな話題となりました。
しかし、どうして死んだイカに醤油をかけると踊り始めるのでしょうか?
その科学的なメカニズムを解説します。
目次
- 新鮮すぎてイカの色素細胞がヒラヒラ動く
- 死んだイカが踊り始める科学的メカニズムとは?
新鮮すぎてイカの色素細胞がヒラヒラ動く
一花亭たびじが提供する「活いかの踊り丼」は、食材の鮮度を追求した日本ならではのメニューです。
日本では古くから、シロウオやエビ、ホタルイカといった魚介類を生きたまま食べる「踊り食い」の文化がありました。
「活いかの踊り丼」は、お客さんの注文を聞いて、水槽で泳いでいるイカをすくい出すところから始まります。
イカは直ちにまな板の上でスピーディーに捌(さば)かれ、頭部から切り離した胴体は職人さんの見事な包丁さばきで、たちまちイカそうめんにされます。
これをイクラやワサビなどの薬味とともに酢飯の上に並べ、さらに頭から下のイカ身を丸ごとドン!と乗っけたら完成です。
ついさっきまで水槽で泳いでいたイカは、ものの1分ほどで丼飯へと変身します。
胴体を切り離したことで脳機能が破損したため、すでに死んでいることは確かです。
しかしあまりに鮮度が高いので、近づいて見てみると、イカの色素細胞がヒラヒラと動いているのがわかりますし、わずかに足をくねらせることもあります。