同じ時期に、キリスト教右派も台頭しますが、韓国の教会は独裁政権の支援を受けて成長しただけに、ニューライトと徒党を組んで李承晩を国父扱いしています。(李承晩はプロテスタントでした)

11. 李明博・朴槿恵政権と経済民主化

仲が良くない李明博と朴槿恵

2007年の大統領選挙では、ニューライトが支持した李明博(イ・ミョンバク)が当選。一方で、オルドライトは朴正煕の娘、朴槿恵(パク・クネ)を支持しました。李明博政府の親企業政策(市場自由主義ではありません)を受け、2012年の頃は財閥に経済力が集中し、家計負債は増える一方でした。

金鍾仁と朴槿恵

こんな状況で保守派の注目を集めた政策が、経済民主化です。これを主張した金鍾仁(キム・ジョンイン)博士はドイツ留学生出身のオルド自由主義者(Ordoliberal、国家による秩序ある市場の維持を重視するケインズ主義とシカゴ学派の間の思想)です。

経済民主化を受け、朴槿恵は財閥改革や庶民福祉を掲げ、民主党から主導権を奪い、セヌリ党は総選挙、大統領選挙で勝利します。しかし大統領になった朴槿恵は経済民主化を排除、実現には至りませんでした。

朴槿恵政権はその後、国政介入事件を発端とした弾劾で幕を閉じ、保守派は大きな危機を迎えます。

12. 現代保守派の特徴と課題

保守は親朴の「自由韓国党」と、反朴の「正しい政党」で分裂されます。しかし二大政党制が強い韓国で正しい政党はあまり人気がなく、更なる分裂を経て、3年後自由韓国党へ合流します。そして保守派はニ回連続、総選挙で負け続けています。

その中で、「温かい保守」「新共和主義」を唱えた劉承旼(ユ・スンミン)議員や、「改革保守」を掲げ、従来の保守派が軽視していた機会の平等、能力主義、公正な競争、アンチフェミニズム、反検閲をテーマとし、20代男性の支持を集めた李俊錫(イ・ジュンソク)代表などがいましたが、大きな変化は見られません。