他の鉱物と混じって採取されたチョートゥー石は、当初そこまで目立っておらず、サファイア採鉱者は一般的な宝石と同様に扱い、地元の市場で販売しました。
しかし、鉱物学者であるチョー・トゥー氏は、市場でチョートゥー石と出会った時、その独自性を見抜きました。
そして、この鉱物を購入。
専門家たちと協力して、その組成や特性を調査したところ、既存のどの鉱物とも一致しないことが分かったのです。
この協力により、2015年に国際鉱物学連合によって「チョートゥー石」として公式に認識され、世界で最も希少な鉱物としての地位が確立されました。
そしてチョートゥー石の科学的な説明は、2017年にロサンゼルス自然史博物館の科学者たちによって提出されました。
現在は、カットされた標本1.61カラット(0.3グラム)が、ロサンゼルス自然史博物館に保管されています。
では、世界に1つしかないチョートゥー石とは、どんな鉱物なのでしょうか。
マグマが冷えて固まる中で誕生した奇跡の鉱物
専門家たちがチョートゥー石にX線を当てて調べたところ、チョートゥー石は「アンチモン酸ビスマス」という物質だと分かりました。
その化学式は、「Bi3+Sb5+O4」です。
ロサンゼルス自然史博物館にあるチョートゥー石は自然の産物ですが、同様の化学組成を持つものは人工的に作ることができます。
天然のチョートゥー石にはビスマス(Bi)とアンチモン(Sb)が含まれており、個別にはそれほど珍しくありませんが、非常に特殊な条件下で結合します。
この鉱物は、マグマが冷えて固まった岩石「火成岩」の一種「ペグマタイト」で形成されると考えられています。
具体的に言うと、まず地下深くでマグマがゆっくりと冷えて固まり、岩石になります。
そのプロセスの末期では、ガスや水分が集まって岩石の中に空洞が作られ、その中で特殊な鉱物が成長する場合があります。