■“空飛ぶ戦車”の開発に取り組む
1648年に出版された著書『Mathematical Magick(直訳:数学的マジック)』の中で、ウィルキンズは機械幾何学によって実現し得る驚異的なマシンの数々を提唱している。「空飛ぶ戦車(Flying Chariot)」もその一つで、まさに人間を月に運ぶことを目的とするものであった。
「空飛ぶ戦車」は翼を使用して飛行し、バネと車輪と少量の火薬を動力源にしている。ウィルキンズは翼を覆う素材について議論し、最終的には適切な素材を見つけるために何度でも実験を繰り返すことを推奨した。同時代の科学者であるロバート・フックは、これを実現させようとして著書 『Micrographia』 (1665年刊) で数々の試作と実験について詳述している。
しかし結局のところ、ウィルキンズの「空飛ぶ戦車」が実現することはなく、彼の提案した月旅行計画はしばらく忘れ去られることになった。
今考えれば荒唐無稽にも感じられるウィルキンズの大胆な仮説だが、その後の科学界に及ぼした影響は大きく、彼の業績が色褪せることはなかった。そもそも17世紀の段階で月旅行を真剣に検討した先見性こそが驚嘆に値するものであり、昔も今も、凡人の発想を超えたこうした壮大な夢こそが科学と学問を進展させる原動力となるのだ。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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